一般社団法人日本毒性学会,THE JAPANESE SOCIETY OF TOXICOLOGY

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学会概要/理事長挨拶

第17代理事長挨拶


 2022年7月1日に第17代日本毒性学会理事長を拝命いたしました務台衛(LSIM安全科学研究所)です。2024年までの2年間を担当します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず簡単に自己紹介をさせていただきます。私は1985年に化学会社に入り、農薬や医薬品の研究開発に毒性研究者・マネジメントの立場で25年関わりました。その後、医薬品の臨床開発やファーマコビジランス部門のマネジメントを約10年経験し、2020年から受託研究機関に転じて現在に至っております。本学会に入会したのは1988年、第15回学術年会(仙台)で発表するためでした。学会活動としては、第1回認定トキシコロジスト試験に合格後、数年して認定試験問題の選考委員や基礎教育講習会の委員を務め、その後理事として教育委員会等の活動に関わりました。また、2018年に第45回学術年会(大阪)を担当させていただきました。
 さて、本学会が一般社団法人化して8年が経ちました。この8年の前半は財務基盤の安定化が大きな課題でしたが、経費節減、会費の値上げ、賛助会員の制度改革およびJTS誌オンライン化等の施策によりこの5年は黒字安定で推移しております。直近の3年はCOVID-19パンデミックにより、学術年会、各種講習会および認定トキシコロジスト試験等の活動継続が危ぶまれましたが、関係の先生方のご尽力により本学会の活力を大きく低下させることなく、乗り切ってきました。そこで、これからの2年間は菅野前理事長から引き継いだ諸課題について着実に対処するとともに、2024年の法人化10年の節目に向かって、本学会の更なる発展のために必要な中長期的な取り組みを開始したいと考えております。
 大切なのは本学会の仲間を増やし、多様性を保ち、インタラクティブな交流を推進することです。本学会の会員数については一時期2,600名超だった会員数が最近は2,500名弱で推移しています。今後の推移を予測するのは容易ではないですが、創薬モダリティの多様化等、製薬会社の非臨床研究に大きな変化が起こっていることも考慮し、会員数の動向と対応策を検討することは必要と考えます。また、評議員あるいは理事会メンバーの女性比率の向上についても意識的に取り組むべきでしょう。賛助会員については、熊谷元理事長の下で制度を改定し会員数増加を成し遂げました。今後は毒性学研究を支える企業が参画し易いように「シルバー会員制度」の見直しを含め、検討したいと思います。
 本学会における関連学会との幅広い連携は毒性学の領域横断性を活かした特長だと思います。これまで以上に諸学会への発信を継続すると共に、受信感度も高く、取り組みたいと思います。特に、IUTOX/ASIATOX/SOT/KSOT等との国際交流においては、コロナ禍で飛躍的に基盤整備されたWeb参加、オンデマンド配信等により、今後さらに時差やロケーションを超えた交流や情報交換が進むことが予想されます。国内に居ながら対応できることが増えることで、本学会代表の少人数の先生が参加する形から会員の皆様がアクセスできる機会も増えるものと思われますので、そのような機会がありましたら皆様の積極的な参加をお願いします。
 会員の相互交流の場として重要な学術年会ですが、この10年で学術年会の規模は拡大し、1,200~1,600名を7~9会場に集める大きな集会となっています。一方で、開催可能な大規模会議場が限られる中での会場確保、年会プログラムの多様化など学術年会長の奮闘でカバーするには負担が大きくなりつつあります。さらに、今後は上述のようにハイブリット開催、オンデマンド配信、SNS活用等が一般化することも想定され、学術年会の在り方自体も変わっていくことは不可避と思われます。他学会の取り組み状況にも学びつつ、本学会としてどのような学術年会を志向するのか情報を整理し、議論をはじめる時期に差し掛かっているように思います。
 以上、いろいろと書き連ねましたが、本学会がなすべき第一は定款第2条に掲げられた「毒性領域の研究の進歩発展を図ること」であり、学術集会の開催、会誌の発行、トキシコロジストの教育及び資格認定等に他なりません。先達の理事長、理事会の先生方が積み上げてこられた実績や成果を継承し、2024年までの2年間、新しい理事の先生方と力を合わせ、社会貢献、社会還元にも意を払いながら本学会を更に発展させていきたいと思います。改めまして、会員の皆様のご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

2022年7月21日 日本毒性学会理事長 務台 衛

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